74.企業の災害対策-水の備蓄Q&A

2024/01/09

企業に備蓄、置いていますか?

避難道具一式

日本は1年を通して、地震や豪雨をはじめとする自然災害が頻発しています。そのため、もしもの災害に備えて、備蓄を常備している家庭も多いことでしょう。しかし、家庭に備蓄はあっても、あなたの会社には備蓄が常備されているか、ご存知ですか?

会社も家庭と同様に、1日の滞在時間が長くなりやすい場所です。すなわち、会社で災害に遭う恐れも十分にある、ということです。
また、東京都をはじめとした一部の自治体では、企業へ備蓄の確保に努めるよう条例を制定しています。東日本大震災の教訓を生かし“むやみに移動しない”ためにも、備蓄の確保は企業が優先して取り組むべき防災対策なのです。

しかしながら“企業で備蓄を常備すること”は、家庭での備蓄と比較してあまり浸透していません。必要な備蓄の品目や量がよく分からない、という理由で準備が進んでいないようです。

まだ備蓄が常備できていないのであれば、まずは絶対に必要な“水”から確保しましょう。
水は食料と違い、摂取しないと数日で生命維持が困難になると言われています。特に災害発生時は医療機関にかかることが難しくなるため、健康を損なう前に自分たちで予防しなければなりません。
そこで今回は、絶対に常備しなければならない、しかし分からないことも多い“水の備蓄”についてご紹介します。


水の備蓄Q&A

水 ペットボトル

Q. 備蓄するべき水の量はどれくらい?
A. 最低でも、従業員数×3リットル×3日分は用意しましょう。
従業員数が100人の企業であれば、100×3×3=900リットルが必要です。
さらに、来客者がいたり、帰宅困難者をオフィスに受け入れたりするのであれば、その人たちの分の水も用意しておきましょう。
そしてなぜ3日分かというと、“発災後3日間は移動してはいけない”からです。
復旧の見通しがない中、多くの人が帰宅を開始しようとすれば、火災や建物倒壊等により、二次災害に巻き込まれる危険があります。また、移動することで、発災後に優先して実施しなければならない救助・救援活動などに支障が生じる可能性があります。
そこで企業は、安全を確保しつつ従業員の帰宅を抑制する必要があり、そのため最低3日分の備蓄の用意が求められるのです。
また、これはあくまで飲料水のみの量です。食料の調理や、場合によってはケガの手当にも水を確保する必要がありますので、それも加味して用意しましょう。

Q. 飲料水ならなんでもいい?
A.長期保存できるペットボトル入りの“保存水”があるので、それを備蓄しましょう。

保存水は、スーパーやコンビニエンスストアで販売されている飲料水と比べて、賞味期限が長く設定されています。その長さはおよそ5年~10年、長いもので15年です。
保存期間が長いため、短期間に何度も新しい水と入れ替えたり、期限切れで飲めなくなったりする手間が減らせることが大きなメリットです。

500ml 2l ペットボトル イラスト

Q.500ミリリットルのペットボトルと、2リットルのペットボトルのどちらを備蓄すればいい?
A. 従業員数が多い場合は、500ミリリットルがおすすめです。

2リットルのペットボトルや、ウォーターサーバーのような大型の容器で飲料水を備蓄する場合、誰かが一人ひとりに注いで回る手間が生じます。人数が少なければそれで事足りますが、従業員数が多ければ、一人1本ペットボトルを配った方が効率は良くなります。何人分の備蓄を常備するかを決める時に、どのような形で飲料水を常備するかも一緒に考えましょう。

Q. 備蓄の保管場所はどこにすればいい?
A. 1箇所に固めないようにして、誰でもすぐ行ける場所に保管しましょう。

保管場所を分散するだけでも、発災後の火災や建物の倒壊などで、備蓄が運び出せなくなるリスクを減らせます。誰でもすぐ行ける場所に保管すれば、手の空いた人たちだけで、迅速に備蓄を運び出すことができます。
もし、1つのビル内で複数のフロアにオフィスを持つ企業であれば、備蓄を保管する階は分けましょう。発災時はエレベーターが停止したり、建物の倒壊などによって備蓄を持ちながらの移動がしづらくなったりする恐れがあります。階ごとに必要な備蓄を分散して保管し、危険を伴う移動のリスクはあらかじめ減らしておきましょう。


企業も日頃から備蓄を常備しよう
災害はいつ発生する分からないものだからこそ、日頃の備えが大切です。災害が発生した時に「備蓄の数が足りない」「賞味期限が切れていた」など不測の事態が起こると、きっと平時以上にパニックになってしまうでしょう。
東日本大震災の発災直後は、スーパーやコンビニエンスストアから物が消えました。水や食料が十分に無いことはそれだけで不安の元になり、人を買いだめに走らせます。備蓄品に不備があっても、発災直後に補充することは難しいと覚悟して、事前の準備と管理を怠らないことが命を守る行動につながります。

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